昨年の神戸新聞杯で自身初の重賞制覇を果たしたジャスティンパレスは、次走の菊花賞で3着に好走し、今春には天皇賞(春)を制してGⅠウイナーの座に上り詰めた。また、2020年の神戸新聞杯を勝ったコントレイルは、次走の菊花賞も勝って、無敗のままクラシック三冠を達成している。3着以内馬に優先出走権が付与される菊花賞はもちろん、年末や来年以降の古馬中長距離戦線を占ううえでも見逃せない一戦だ。今回は中京・芝2200メートルで行われた2020年から2022年を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中25頭は、通算出走数が7戦以内だった。一方、8戦以上だった馬は3着内率8.6%と苦戦している。まずはキャリア7戦以内の馬に注目すべきだろう。〔表1〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
7戦以内 | 9-7-9-58 | 10.8% | 19.3% | 30.1% |
8戦以上 | 1-3-1-53 | 1.7% | 6.9% | 8.6% |
なお、通算出走数が8戦以上だったにもかかわらず3着以内に入った5頭のうち3頭は、前走の着順が1着、かつ2着馬とのタイム差が0.1秒以上だった。一方、これに当てはまらなかった馬は3着内率4.3%と苦戦している。直近のレースで2着馬に0.1秒以上のタイム差をつけて勝っていた馬でない限り、キャリア8戦以上の馬は割り引きが必要だ。〔表2〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の着順、前走の2着馬とのタイム差 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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着順が1着、かつタイム差が0.1秒以上 | 1-1-1-8 | 9.1% | 18.2% | 27.3% |
着順が2着以下、もしくは1着でタイム差が0.0秒 | 0-2-0-45 | 0% | 4.3% | 4.3% |
過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、前走の着順が4着以内だった。一方、5着以下だった馬は3着内率12.5%とやや苦戦している。どちらかと言えば前走好走馬が強いレースとみておきたい。〔表3〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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4着以内 | 9-7-7-62 | 10.6% | 18.8% | 27.1% |
5着以下 | 1-3-3-49 | 1.8% | 7.1% | 12.5% |
なお、前走の着順が5着以下だったにもかかわらず3着以内に入った7頭のうち4頭は、父か母の父がディープインパクトだった。それ以外の馬は3着内率が6.7%にとどまっているので、父か母の父にディープインパクトを持つ馬でない限り、前走で5着以下に負けていた馬は評価を下げるべきだろう。〔表4〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
血統 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
父か母の父がディープインパクト | 1-2-1-7 | 9.1% | 27.3% | 36.4% |
父も母の父もディープインパクト以外 | 0-1-2-42 | 0% | 2.2% | 6.7% |
過去10年の3着以内馬30頭中20頭は、前走がJRA、かつ前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が3位以内だった。一方、4位以下だった馬は3着内率14.1%とやや苦戦している。直近のパフォーマンスを比較する際は、上がり3ハロンタイム(推定)もチェックしておいた方がよさそうだ。〔表5〕
順位 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3位以内 | 6-5-9-48 | 8.8% | 16.2% | 29.4% |
4位以下 | 4-5-1-61 | 5.6% | 12.7% | 14.1% |
なお、前走がJRA、かつ前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が4位以下だったにもかかわらず3着以内に入った10頭のうち9頭は、“JRAの1800メートル超のGⅠ・GⅡ”において2着以内に入った経験がある馬だった。格の高い中長距離のレースで連対を果たしたことがある馬でない限り、前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が4位以下だった馬は疑ってかかるべきかもしれない。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 4-4-1-15 | 16.7% | 33.3% | 37.5% |
なし | 0-1-0-46 | 0% | 2.1% | 2.1% |
過去7年の3着以内馬21頭中17頭は、JRAの重賞において3着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率9.1%と苦戦している。近年の傾向を重視するならば、既に重賞で馬券に絡んだことがある馬を重視するべきだろう。〔表7〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 7-5-5-31 | 14.6% | 25.0% | 35.4% |
なし | 0-2-2-40 | 0% | 4.5% | 9.1% |
なお、JRAの重賞において3着以内に入った経験がなかったにもかかわらず、当レースで3着以内に入った4頭のうち3頭は、同年の札幌競馬場のレースにおいて1着となった経験がある馬だった。この経験のなかった馬は3着内率2.6%と低迷している。今年の札幌開催のレースで優勝を果たしていた馬でない限り、重賞で馬券に絡んだことのない馬は過信禁物だ。〔表8〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-2-1-2 | 0% | 40.0% | 60.0% |
なし | 0-0-1-38 | 0% | 0% | 2.6% |
過去7年の優勝馬7頭は、いずれもJRAのGⅠにおいて2着以内に入った経験がある馬だった。GⅠで連対を果たしたことのある馬はしっかりマークしておきたい。また、この7頭は通算出走数が6戦以内だった点も共通している。〔表1〕などで挙げた傾向も考慮するべきだろう。〔表9〕
(伊吹 雅也)
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年次 | 優勝馬 | JRAのGⅠにおける最高着順 | 通算出走数 |
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2016年 | サトノダイヤモンド | 2着(日本ダービー) | 5戦 |
2017年 | レイデオロ | 1着(日本ダービー) | 5戦 |
2018年 | ワグネリアン | 1着(日本ダービー) | 6戦 |
2019年 | サートゥルナーリア | 1着(皐月賞ほか) | 5戦 |
2020年 | コントレイル | 1着(日本ダービーほか) | 5戦 |
2021年 | ステラヴェローチェ | 2着(朝日杯FS) | 6戦 |
2022年 | ジャスティンパレス | 2着(ホープフルS) | 5戦 |
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